社会的成功と幸福は必ずしも一致しない・その1


我々は子供のころから、「いい大学を出て、いい職業に就き、高収入を得て、いい人と家庭を持てば、幸せになれる」と教えられてきました。しかし、実際にそれらを達成していても、本当に幸せと感じている人はあまり多くはないものです。アメリカのプリンストン大学の調査で、世帯収入が75,000ドル(当時のレートで約630万円)以下の人では、収入と満足感は比例するものの、75,000ドルを超えるとそうではないことが分かっています。今の日本で、年収が1000万を越える人は約5%です。そんな人たちがみんな幸せかと言うと、そうではありません。人がうらやむようなお金や名声、そして社会的地位を得ていても、うつなどで苦しんでいる人はたくさんいます。

また、結婚することを「幸せになる」と表現されることがあります。しかし、ずっと幸せな夫婦関係を続けている人はそんなに多いものではありません。「生まれ変わっても同じ人と結婚するか」という調査をしたところ、同じ人と結婚すると答えた人は男女とも半分以下という結果が出ていますし、最近では3組に一組は離婚しています。そして、子供が欲しいと願う人は多いですが、子供のことで悩んでいる人も多いのが実状です。

つまり、お金持ちや有名になっても、結婚して家庭を持っても、その幸せは必ずしも永続的なものではないということです。まだそれらを手に入れていない人は、「今自分が苦しんでいるのは、まだ自分には足りないものがあるからだ。それを手に入れなければ幸せになれない。」と考えます。しかし、既にそれらを手にしている人にとっては、そうではありません。「こうなれば幸せになれる」と教えられてきたから、それに向かってがんばってきた。でも、実際それらを達成したらそうではなかったのです。そこでふたつに分かれます。

①さらにがんばるパターン
「自分にはまだ不足があるので、もっと成功しなければならない」とさらに収入や社会的地位を上げることにがんばっている方もおられるでしょう。普通の人から見れば十分過ぎるような収入があっても、さらに上をめざしています。いくら稼いだところで、上には上がいますし、得たものを失う恐怖はなくなることがありませんから、その不足感はなくなることはありません。
②精神性(スピリチュアル系)に救いを求めるパターン
一方、社会的成功と自分自身の幸福は違うところにある、ということに気づく人もおられます。そういう人は、物質的な豊かさよりも精神性を高めようとします。私も大好きです。でも、そこにばかり救いを求めると大きな落とし穴が待っています。続きは次回に・・・